2009年3月9日月曜日

『大和朝廷の秘歌』 東京楽所 多忠麿

 












 図書館でふと見つけた一枚。まずジャケットからして良さそうな雰囲気がぷんぷんしました。さっそく借りて聞いてみると、これが大当たり!久し振りに良い音楽と出会えました。

 解説によると、「神楽歌をはじめとする国風の歌舞が収めてあり、比較的接する機会の少ない歌曲で、秘曲ともいえる。また多くは奈良朝にすでに宮廷の大殿で行われた鎮魂式で歌われたもので、日本歌謡の本源を探る手たでとなる」一枚だそうです。珍しい器楽、音節で演奏され、中に古代歌曲以外には見られない独特の音形があるそうで、詳しく調べるととてもおもしろそうです。

 私は全くそういった知識がなく、前知識なしにこのCDを聞いたのですが、一聴してとても気に入りました。鎮魂式で歌われたとありましたが、確かにじっくり聞いてみると、いつのまにか音の中に入っていって、心が静かになっていくような気持ちになりました。男性の合唱(?)がゆらゆらと、時に力強く歌われ、伴奏がさらに音空間を豊にします。中世の西洋音楽でも、例えばグレゴリアン・チャントのような合唱があります。なんだかそんな音楽を連想しました。しかし、日本で生まれ育ったわたしには、今回の『大和朝廷の秘歌』の方が、すんなりとその世界観に馴染んでいけます。

 そうそう、私が最近気になっている「笛」の音も満載です。これがまた絶品なんです!!!!この「音が空間漂っている」感じはなかなか表現できない世界だと思います。〈もしかすると、日本特有の音なのかも・・・。〉中でも3曲目の「縒合」という曲の笛の音は超絶です!!!!!解説にも「この曲の持つ雰囲気は古代の儀式のありさまを髣髴とさせ、日本人の琴線をゆさぶる名曲」とありますが、まさにその通りだと思いました。この曲以外にも聞きどころが満載です。知識が無くても音楽が好きな人なら、絶対反応してしまう一枚だと思います。知識があると数倍楽しめそうです。機会があれば調べてみようかなと思いました。

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