星新一『ブランコのむこうで 』(新潮文庫)
内容(「BOOK」データベースより)
ある日学校の帰り道に、もうひとりのぼくに出会った。鏡のむこうから抜け出てきたようなぼくにそっくりの顔。信じてもらえるかな。ぼくは目に見えない糸で引っぱられるように男の子のあとをつけていった。その子は長いこと歩いたあげく知らない家に入っていったんだ。そこでぼくも続いて中に入ろうとしたら…。少年の愉快で、不思議で、すばらしい冒険を描く長編ファンタジー。
ある日学校の帰り道に、もうひとりのぼくに出会った。鏡のむこうから抜け出てきたようなぼくにそっくりの顔。信じてもらえるかな。ぼくは目に見えない糸で引っぱられるように男の子のあとをつけていった。その子は長いこと歩いたあげく知らない家に入っていったんだ。そこでぼくも続いて中に入ろうとしたら…。少年の愉快で、不思議で、すばらしい冒険を描く長編ファンタジー。
読んでみて一番心に残ったのは、「ほほえみ」と「道」というタイトルの話です。「道」なんかはもうちょっと色々な経験を経てから読んでみると、また違った感想を得るかもしれません。とても素敵な物語だと思います。
以前こちらのブログで「笑い」についての記事を少し書きました。そんなことがあったので、この『ブランコのむこうで』では、笑いについてどういう風に表現されているのかも注目しながら読んでみました。
物語の初めの方で、主人公の男の子が夢の世界に迷い込んでしまいます。突然見たこともない世界に放り込まれ、あまりのことに不安になり気が遠くなりそうになる。しかし、じっとしていてもしょうがないから歩き出す。そこでこんな表現が出てきます。”川の水面には、空の雲がうつっている。上流のほうから白い花びらが流れてきて、水の渦でくるくる回り、また流れ去っていった。白い蝶が舞いながら、それを追いかけていった。白い花びらを仲間と思ったのだろうか、水にうつる自分の姿と思ったのだろうか。ぼくの口もとには、ちょっと笑いがひろがった。笑っている場合なんかじゃないんだけど”とあります。私はとてもこのシーンが印象的でした。さっきまで心なかは混乱していて、不安でたまらなかったはずの男の子が、このシーンを境にこの迷い込んでしまった「夢の世界」に積極的に参加していこうとします。
そういった「笑い」の表現の頂点が「ほほえみ」と題された物語で展開されています。
「道」というタイトルの物語は笑いについての目立った表現はありませんが、内容はとても深いものです。「人生とはなんぞや」なんて考える時にちょっとしたヒントや視点を与えてくれるお話だと思います。
小学生の男の子が主人公の物語ですので、語り口もそれに合わせられていてお子様向けの物語なのかな?なんて思う人もいるかもしれせんが、これは大人になってからこそ身に沁みる話ばかりだと思います。
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